| 舞台は大津の佐多町にある小さな和菓子屋。そこで働く恵子を軸に、家族や心やさしい仲間たちとともに物語は展開する。
明るくて気立てのよい彼女はある日、一篇の詩に出会う。
「小さな店であることを羽白ことはないよ その小さなあなたの店に 人の心の美しさを 一杯に満たそうよ」今まで何気なく働いていた彼女は、その言葉の一つ一つに深く感動する。
自分の考え方一つで商いの世界は全くかわってしまう。今までの、売ろう、買ってもらおうという考え方を捨て、素直に人に接し、お客様に喜んでいただこうという気持ちで一杯になる。
恵子に恋心を抱く大企業のエリート社員・中川は、「そんな考え方は時代に合わない。自己満足に過ぎない。情緒的な商いではなく、資本力と組織力を背景にした合理的なセールスをしなければだめだ」と忠告する。
恵子を見守り励ましてきた店長の加山は、通り一遍のマニュアルではなく、一人ひとりのお客様に心のこもった接客をし、最大の満足をお届けすることでお客様の支持が高まり、店は繁盛すると反論し、一歩も引かない。
そんなある日、店を閉めた後に一人の客が飛び込んでくる。老母が危篤なのだが、最後にこの春秋庵のお菓子をどうしても食べたいというので、こんな遅くにやってきたという。
驚いた恵子は、精一杯のことをしようと心に誓った。そして、この出来事が、彼女に忘れられない思い出をもたらすのだった。
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